精神病(精神症状)

精神症状の分類と栄養療法



精神症状は全て精神病ではありません

 精神病は、大きく分けると妄想・幻覚などの症状を示す精神分裂病と、それらの症状を示さない躁鬱病に分けられます。
 しかし、一般に精神病と思われる精神症状の中には、食物アレルギーや低血糖が原因となっている場合もあります。また精神分裂病や鬱病でも、ビタミンの大量投与や食生活の改善により大きく症状が改善する場合が多くあります。
 したがって、栄養療法による精神症状の改善が有効である場合が多いのです。以下に栄養療法による各種精神症状の改善について解説します。





精神症状に対する栄養療法の概略

パターン1 精神分裂病
対象
 精神分裂病の妄想・幻覚・錯乱・興奮などの陽性症状。
治療プログラム
ナイアシン・C・B群の大量投与と高タンパク食の併用。
効果
 早ければ約1ヶ月で幻覚の消滅と社会性の回復。
考察
 急性精神分裂病の症状は幻覚剤使用者の症状と酷似している。したがって精神分裂病は自分の脳が幻覚剤をつくりだす化学的障害と推定される。したがって脳内代謝を強制的に正常化する栄養学的コントロールによって精神分裂症状は改善すると推定される。実際、ナイアシン・C・B群の大量投与はLSDの陶酔感を無効にする。
 また高タンパク食の併用がメガビタミン栄養療法の結果に大きな影響を与えるのは、炭水化物の代謝に必要なビタミンの、体内における節約が重要である可能性を示唆している。

パターン2 鬱病
対象
 低血糖症を主因とする不安神経症や神経衰弱、また血糖値の変動を主因とする躁鬱病。
治療プログラム
 低血糖症用ダイエット食(高タンパク食・炭水化物制限・頻回食・アルコールやカフェインの禁止)。
ビタミン(特にエネルギー代謝関連)・ミネラル(特に亜鉛・クロム)の補給 筋肉の硬直がある場合は緊張した筋肉をリラックスさせる身体運動プログラムを併用。
効果
 2〜3ヶ月の低血糖症用ダイエット食で食事と精神状態との関連を理解し(ダイエットを破った後に生じるひどい精神状態を経験するため)、ダイエット食の習慣が安定する。
注意
 低血糖症の最もありふれた原因は、肩から上の恒常的な筋肉の緊張による糖の消耗。したがって、このような硬直した筋肉が確認できる場合は、硬直部をリラックスさせる身体技法の併用が必要。
考察
 躁鬱病の治療薬であるリチウムは血糖値の変動を抑制する。

パターン3 食物アレルギー
対象
 慢性食物アレルギーを主因とし低血糖症状を伴なう、以下の精神症状や身体症状。
 精神症状としては、アレルギー誘発食品に対する強い欲求と依存、アレルギー誘発食品を食べた後の気分の高揚、アレルギー誘発食品を食べた後48時間以内の精神の鈍磨・錯乱・鬱・見当識喪失。一般に日常の集中の無さと低い社会性。また、断食で気分が良く精神が明晰と感じる低血糖症患者。
 身体症状としては、疲れ・だるさ・偏頭痛・鬱・躁・幻覚・錯乱・鼻が詰まっている・目の下に青黒いくまがある・顔色は不健康に白いなど。また高タンパク食・炭水化物制限に反応しない低血糖症患者。
治療プログラム
 アレルギー誘発食品の発見と食事からの除去。例としては、小麦・卵・鶏肉・牛肉・牛乳・チョコレート・コーン・ナッツなどがアレルギーを誘発しやすい。
 食事の改善。具体的には、ジャンクフード(精製度の高い炭水化物・砂糖・カフェイン・アルコール)を禁止し、高タンパク食・新鮮な野菜・果物・ビタミン・ミネラルの十分な補給。
効果
 約1ヶ月で集中の無さの消滅と社会性の向上。
注意
 食品アレルギー患者はその食品を取り続けることで禁断症状の不快感から逃避している。またアレルギー誘発食品を取った後のハイな状態に耽溺している。したがってアレルギー誘発食品と推定される食品を中止する提案には激しく反対を予測しておくこと。





栄養素の不足による精神・感覚・身体症状

チアミン(B1)
症状
精神・自覚
 情緒不安定、、緊張、興奮しやすい、怒りやすい、非協力的、無感動、錯乱、鬱、悲運の予感、疲れ、不眠、食欲不振
運動・感覚
 頭痛、背中の痛み、手足のしびれや熱感や蟻の這うような感じ、痛みに敏感で耐えられない、音に敏感、息が短い、心悸亢進
身体・外観
 胃酸不足の下痢、体重減少、心臓肥大
投与
 0.01〜0.025g/日の投与。脚気・心臓疾患・アルコール性多発神経炎などには、0.5g/回を2回/日の投与。

リボフラビン(B2)
症状
精神・自覚
 精神的不活発、光に対する過敏、不眠
運動・感覚
 震え、めまい
身体・外観
 深紅または紫の舌、口の角の裂け目、上唇の消失
投与
 ピリドキシン(B6)を大量投与していないなら、0.01g/日の投与。

ナイアシン
症状
精神・自覚
 幻覚類似の感覚異常、妄想思考、陰気、恐怖、疑い深い、鬱や怒りの表情、
 道徳的感受性の欠如(病的な虚偽や窃盗)、集中できない
身体・外観
 身体を折り曲げる、舌の先が赤い、イチゴ舌、舌苔白厚、口臭、胃酸不足による消化障害
投与
1.5〜6g/日の投与。
注意
 ナイアシンによる精神病症状の改善は、3〜7日という短期間で効果が見られる場合もあるが、投与を止めると症状が再発しやすい。また、ナイアシンアミドの投与は高タンパク食と併用しないと非効果的な場合が多い。
 化学的にアミド型でないナイアシンは、1g以上の投与でヒスタミン放出により血管が拡張し、皮膚の熱感や赤色(15分〜3時間後)が生じる。この感覚はナイアシンを必要としないと不快に感じ、ナイアシンを必要とすると気にしないか耐える。血中ヒスタミン値が高いと、熱が強く頭痛を経験する場合もある。また同時に取る食事が多いと熱はひどくない。ナイアシンはナイアシンアミドより安全性が高いので、大量投与するのはナイアシンの方が望ましい。
 ナイアシンは血糖値を高めるので、糖尿病では注意する必要がある。しかし低血糖症には助けになる。

ピリドキシン(B6)
症状
精神・自覚
 自閉症、興奮性、集中できない、極度の無気力、夢を見ない覚えていない
運動・感覚
 頭痛、めまい、腕や脚のひきつりや無感覚、幼児のひきつけ、てんかん的発作
身体・外観
 水分保持性の過体重、青年のにきび、多量のふけ、顔面各所の脂っこいうろこ
投与
 治療量は0.05〜1g/日。自閉症と分類された児童には、0.075〜1g/日。月経前憂鬱症には、0.05〜0.2g/日。
注意
 0.05g/日以上の投与はマグネシウム0.4gを投与しリボフラビンを同量投与すること。

パントテン酸
症状
精神・自覚
 ストレス性疲労、不眠、不機嫌、鬱
運動・感覚
 副腎疲労による背中の副腎位置の痛み、歯軋り
投与
0.25gを2回/日投与する。

ビタミンC
症状
精神・自覚
 批判的、悲観主義、物憂い、鬱、不機嫌で苦しい表情、疲労、悩みやつれた表情、錯乱
運動・感覚
 椎間板ヘルニアの腰痛
身体・外観
 出血しやすく腫れた歯茎
投与
 批判・悲観的意識や不安に対する鎮静や不眠症には1回に1〜2gの投与。重い精神病に3〜30gで精神分裂病には10〜30gの投与。
 ヘロイン常用の治療には30〜50gを1時間おきに経口投与し禁断症状を抑制できる。
注意
 アスコルビン酸として30g前後の大量投与は胃酸過多症を引き起こすので、ナトリウム塩やカルシウム塩を使用する。
 ヘロイン常用や精神分裂病の治療には高タンパク食を併用すること。鬱病には鎮静と刺激の作用(脳波測定)があるルチン(ビタミンP)を0.05g投与する。

タンパク質
症状
精神・自覚
 緊張、神経過敏、抑鬱、不安、疲労、言語障害、貧弱な記憶、錯乱、思考の遅滞
運動・感覚
 頭痛、頚部痛、めまい、吐き気、腹痛、痙攣、一時的視覚喪失発作
身体・外観
 左上腹部を押されたときの痛み
投与
 精製された穀粉・芋類・砂糖・精製澱粉の禁止と精製度の低い穀紛・豆類・野菜類・低脂肪の肉類・卵類・乳製品を中心とした食事。
 炭水化物・タンパク質・脂肪の比率はインシュリンの分泌を抑制する4:3:3くらい。また食物繊維はインシュリンの分泌を抑制するので三大栄養素の比率以外にも食物繊維が多くなるようにする。
 2〜3時間毎の頻回食により血糖値の変動幅を少なくすることが出来る。





実施の要点

ビタミンBサプリメント
 ナイアシンを含むビタミンB群は味の問題や一回量の正確さを考えると、B群のバランスを考えた錠剤を使用する。
ビタミンCサプリメント
 ビタミンCも、味の問題や一回量の正確さを考えると、錠剤タイプのサプリメントを使用する。
高タンパク食メニュー
 高タンパク食はご飯を減らし、豆乳・豆腐・チーズなどを加えるなどであるが、本人の抵抗が予想されるので面談の上、決定することになるのでは。メニューの細かい数量は、面談後に栄養計算で栄養比率を確認して決定する。

服用スケジュール
 一般的に3時間毎に食事をすることは困難とおもわれる。したがって食事回数は2〜3回/日で3時間毎にプロテイン&CドリンクとビタミンB錠剤と服用するという折衷案が現実的と考える。

テスト期間
 栄養療法は早ければ、ナイアシン大量投与のように3〜7日で改善の自覚がある場合もあるが、約1ヶ月程度で効果が得られるケースも多い。また栄養療法の効果が出るのに数ヶ月以上かかる場合もしばしばある。
したがってテスト期間は2週間を単位とする。2週間で明瞭な効果が見られないときは処方量の再検討をおこない、最低でも1ヶ月は継続する。

改善の判定方法
 この手の療法は改善されたかどうか客観的に評価できる手法が無いと、いつのまにか消滅する可能性が高い。したがって感覚刺激による脳波の変化から精神分裂病の評価をおこなうERP(event related potentialseb=事象関連電位)測定などを、テスト投与開始前からおこない、治療開始後は2週間くらいの間隔で測定することが望ましい。






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